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岐阜地方裁判所 昭和59年(わ)112号 判決

本籍

岐阜県益田郡萩原町上村八八四番地の三

住居

右同所

職業

遊技機リース業

二村富士夫

昭和一三年四月九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官松浦由記夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、五〇〇万円に処する。

被告人が右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から五年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、岐阜県益田郡萩原町上村八八四番地の三において、「中部遊園設備」の名称で遊技機リース業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、リース収入等の一部を除外して、これによって得た資金を家族名義の定期預金に充てるなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、別紙脱税額計算書記載のとおり、

第一  昭和五六年分の実際所得金額が四、一八八万八、二九二円で、これに対する所得税額が一、八九一万六、六〇〇円であるのに、右実際所得金額中三、九八八万八、二九二円を秘匿したうえ、昭和五七年三月一五日、同県高山市名田町三丁目八二番地所在高山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二〇〇万円で、これに対する所得税額が三万八、六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、前記正当税額との差額一、八八七万八、〇〇〇円の所得税を免れ、

第二  昭和五七年分の実際所得金額が六、六一八万二、九四七円で、これに対する所得税額が三、四九〇万五、八〇〇円であるのに、右実際所得金額中六、二一八万二、九四七円を秘匿したうえ、昭和五八年三月一五日、前記高山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四〇〇万円で、これに対する所得税額が三〇万五、七〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、前記正当税額との差額三、四六〇万〇一〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全般につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する供述を録取した質問てん末書一〇通

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人作成の上申書

一  二村恵子(三通)、細江喜介、小川正宏、野村稔、古田保郎、藤村剛、秋山栄子、塚中伊津子、熊崎文隆、長瀬榮三及び下田薫の大蔵事務官に対する供述を録取した各質問てん末書

一  高山警察署長作成の「調査関係依頼書の回答」と題する書面

一  大蔵事務官日角正治(七通)、同堀口和行(二通)及び同西田英彦(八通)作成の各査察官調査書

一  押収に係る請求書綴一綴(昭和五九年押第五〇号の一)、帳簿一冊(同号の二)、納品書(控)等綴一冊(同号の三)、代金取立手形預り通帳一冊(同号の四)、領収書等綴一綴(同号の五)、領収証(控)等綴一綴(同号の六)及びキャンパスノート一冊(同号の七)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官井上清作成の証明書二通(記録証第一〇一号及び同第一〇三号のもの)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官井上清作成の証明書二通(記録証第一〇二号及び同第一〇四号のもの)

(確定裁判)

被告人は、昭和五八年三月一五日岐阜地方裁判所高山支部において常習賭博罪により懲役八月(三年間執行猶予)に処せられ、右裁判は同月三〇日確定した(前科調書)。

(法令の適用)

罰条 判示各年分ごとに所得税法二三八条一項・二項(懲役刑及び罰金刑を併科)

併合罪 刑法四五条後段・前段、五〇条、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき同法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項一号

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 山川悦男)

別紙 〈省略〉

税額の計算

〈省略〉

〈省略〉

税額の計算

〈省略〉

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